introduction

国連史上最悪のスキャンダルとなった「石油・食料交換プログラム」

舞台はイラク戦争直前の2000年代初頭。長年経済制裁が敷かれ、困窮が続いていたイラク国内。

フセイン政権下のイラク国民が経済制裁の影響を受けすぎているとして96年から始められたのが、オイル・フォー・フードと呼ばれる「石油・食料交換プログラム」。国連がイラクの石油を管理し、その販売金で食料を買う。それを市民に配給するという目的で始められた人道支援計画。総額640億ドル(当時の為替で7兆3600億円超)という巨額の予算のため賄賂や不正が横行し、2003年11月に終了した。当時、プログラムを管理していた国連事務次長のベノン・セバン自身(本作での役名はコスタ・パサリス〈通称:パシャ〉)の関与がのちの調査で明らかになった。少なくとも18億ドル以上の汚職が判明しているが、国連は調査協力を拒否したため現在も全貌が明らかになっていない事件である。

自身の体験を基に書き起こしたベストセラー小説の映画化!

国連史上最悪のスキャンダルとなった「石油・食料交換プログラム」国連職員として働いた経験のあるマイケル・スーサンが、自身の体験を基に書き起こした2008年の小説「Backstabbing for Beginners」が原作。小説はウォール・ストリート・ジャーナルが選ぶ“ブック・オブ・ザ・イヤー”、CNNが選ぶ“ブック・オブ・ザ・ウィーク”に選ばれた。

監督ペール・フライは『ストックホルムでワルツを』(13)でスウェーデン映画界最高の栄誉である第49回ゴールデン・ビートル賞で監督賞を受賞し劇場でもヒットを記録。主演のマイケルを演じたのは、『ダイバージェント』シリーズ(14-16)や『アンダーワールド』(03-17)で知られる若手スター、テオ・ジェームズ。共演は、『ガンジー』(82)で第55回アカデミー賞主演男優賞受賞し、3度もアカデミー賞にノミネートされている名優ベン・キングズレー。名作『ブリット』(68)で鮮烈な印象を残し、最近ではフランソワ・オゾン監督の『2重螺旋の恋人』(17)にも出演しているジャクリーン・ビセットが国連所長デュプレを演じる。

一説には200億ドルとも言われる未曽有の金額が流出した実際の汚職事件を元に、ニューヨークとバグダットを舞台にして緊張感あふれるスリリングな物語が展開される。アメリカ配給は『ムーンライト』(16)などの新進気鋭の配給会社A24とディレクTVが担当したことも話題になった、国連の裏側を描く迫真のポリティカル・サスペンス。

story

2002年。24歳のアメリカ人青年マイケルは、念願だった国連事務次長の特別補佐官に任命され、国連が主導する“オイル・フォー・フード”プロジェクトを担当することになった。これはイラクがクウェートに侵攻したことによる経済制裁の影響で、貧困にあえぐイラクの民間人を救う人道支援計画。国連の管理の元でイラクの石油を販売し、食料に変えてイラクの国民に配る。一見理想的な政策に見えるこのプロジェクトに実はフセイン自身が関与し、国連を中心とした世界各国の企業や官僚機構がかかわっていることを知る。やがて世界に例を見ない巨額の詐欺事件に発展していくのであった。